フローリングワックスの塗り方を解説した記事や動画は他にもありますが、ほとんどの場合は作業工程を淡々と解説する程度です。
肝心のポイントやコツを紹介したものが少なく、参考にしてやってみたけど上手くいかなかった方も多いと思います。
そこで本記事で紹介しているワックスの塗り方は、ワックスメーカー専属の実演スタッフに教えていただいた内容になります。
また失敗しないための、塗る際の注意点やポイントを細かくまとめました。
これまでに100種類以上の床ワックスに関するアイテムを使ってきたマニア。使い方や商品の違いなど、初心者の方にも分かりやすく解説しています。ワックスに関する知識は日本一かも?
メーカー公式サイトにも載っていない。より実践的で初心者の方でもキレイに塗れる方法になります。
本記事を読む前に、1度塗って失敗した方は以下の記事をご参考ください。
ワックスを塗る前に確認しておきたい7つのこと
ワックスの塗り方は3つのステップで次の項目から解説します。
その前に、知っておきたいことをまとめています。
- 床ワックスを塗るメリット・デメリット
- スプレー・シート・液体タイプの違い
- ペット用ワックスの特徴
- ワックスとフロアコーティングの違い
- 樹脂ワックス・ロウワックスの違い
- ワックスとニス・ペンキって何が違うの?
- 一般家庭用とプロ用ワックスの違い
ワックスを塗るメリット・デメリット
必ずしも全員がフローリングワックスを塗った方がいいわけではありません。
メリット・デメリットを把握し、必要なのか見極める必要があります。
スプレー・シート・液体タイプの違い
床の保護や光沢を出したい。滑りにくくしたいなど、ワックスを使う目的は様々です。
安易に手軽だから・価格が安いからといって、ワックスを選ぶと満足のいく結果にならない場合があります。
スプレーやシートタイプをお考えの方は参考にしてみてください。
ペット用ワックスの特徴
ペット用ワックスの第一の目的は滑りにくくすることです。
フローリングで滑ってしまい、ワンちゃんが関節症にならないように事前に防ぐことを前提として作られています。
その他に尿によってワックスが剥がれたり、変色を防ぐための商品や、爪による引っかきキズを付けないようにするものなど。
一般的なフローリングワックスに付加価値が付いたタイプが多い反面、耐久期間が短めというデメリットもあります。
ワックスとフロアコーティングの違い
ワックスを使う目的はほぼ同じ、フロアコーティングとの違いを解説しています。
フロアコーティングの価格は圧倒的に高いですが、その点性能が良いため新築やリフォーム直後におすすめです。
樹脂ワックス・ロウワックスの違い
無垢材のフローリング床の場合は特に要注意です。
無垢材にはロウタイプのワックスを使用します。
樹脂タイプのワックスは使用できないため、自宅の床が何なのか?を把握する必要があります。
ワックスとニス・ペンキって何が違うの?
DIYで使ったニスの残りなど、ついでに床に塗っておこうかな。という場合はご注意ください。
塗りやすさ・塗った後のメンテナンスを含めて考えるとフローリングワックスが最も手軽です。
一般家庭用とプロ用ワックスの違い
広い範囲に使いたい。プロ用はもっと強力そうだからといった理由での使用はNGです。
基本的に自宅でプロ用(業務用)のワックスは使用できない場合が多いです。
Step1 床ワックスを塗る前に注意すること
ワックスを塗る前に重要なのはワックスを塗る時期・天候です。
床ワックスが最も使われるのは、年末の大掃除時期(12月)ですが、実はベストな時期ではありません。
天気が良く、風が無い日が最も適している
梅雨時期や雨の日など、湿度が高い日はワックスの乾きが遅く、失敗する原因につながります。
また風が強い日もホコリが付きやすいです。
- 3~4月。もしくは9~10月
- 風がなく、晴れの日
気温が高すぎ・低すぎは注意する
気温が高すぎる猛暑日や、直射日光が当たると急激に乾くことによりムラになります。
逆に雪が降った寒い日にワックスを塗ると、液体が固まる段階でムラが起こることがあります。
寒いと密着不良を起こし、粉のようにボロボロ剥がれることがある。
薄く塗ることで対策は出来ますが、始めての方には調整が難しいです。
どちらの場合もエアコンで室内を適温にすることで対処できますが、ワックスのニオイが部屋に充満するのでご注意ください。
使用する前は必ず床暖房をOFFにして「温度が下がるまで待つ」ことが大事です。
温度が下がり切る前にワックスをかけてしまうと、塗りムラができます。ムラになると表面が白くなることもあります。
Step2 まずは床の掃除!「油分」を徹底的に取ること
- 床についたホコリを掃除機で取り除きます。
- 油分(皮脂)をウエットシートで取ります。
ウエットシートでの掃除は一手間ですが仕上がりに影響します。
床ワックスは水性で出来ており、表面に付いた油汚れ「皮脂」などが残っていると弾いてしまい、塗りムラになります。
油汚れとは料理の油をイメージしますが「素足で歩いた時に付く人の皮脂」も含みます。
床の油分を取る方法
市販のウエットシートでは「油分」を取る性能に特化していないため、完全に取り切れないことがあります。
「しっかり水拭きしたのにムラになった」という場合に、油分が取り切れていないことが多いです。
油分を取る方法は2つです。
- 床用のクリーナーを使用する
- 専用のシートを活用する
床用のクリーナーを使用する
クリーナーには様々な種類があります。
ワックスがけもできて汚れを落とすタイプ(シート・スプレータイプがある)や、オール床クリーナーなどがあります。
オール床クリーナーは、原液のまま使用すると剥離剤として使用でき、水で希釈するとワックスがけ前の床の洗浄として使用できます。
専用のシート(オール床クリーナーシート)が便利
時短でラクにできるアイテムに「オール床クリーナーシート」がオススメです。
オール床クリーナーと同様の成分が入っており他のウエットシートと比べて油分が取れやすいです。
シートは半分に折りたたまれて、合計8枚入っています。チャック付きなので乾く心配はありません。
自宅にあるワイパーに取付けて拭くだけなので時短になります。
ワックスがけの前に使用するだけでなく、普段の床掃除にも使用できます。
市販のウエットシートよりも保水性がいいので、1枚で広い面積を掃除できます。皮脂などの油分が取れるので床がサラサラになります。
梅雨時期や湿度の高い夏場に使用すると肌触りがさっぱりするので快適になります。
Step3 失敗しない塗り方
ワックスがけで、やってはいけないことが2つあります。
- ゴシゴシと力を入れない
- 直接床へワックスを撒かない
掃除で汚れを落とすように、力を入れてワックス塗ると泡立って空気が入りムラになります。
また直接床へワックスを撒くと、 均一に塗れず塗りムラになります。
キレイに仕上げるには専用の道具を使うことをオススメします。
①専用のワイパーかシート・モップを使用する
広い範囲にワックスを塗る場合は、ワイパーを活用すると効率よく、キレイに仕上がります。
クイックルワイパーなどの掃除用のワイパーでも替えは効きますが、ワックスがけに適していません。
専用のワイパーがおすすめ
掃除用のワイパーと違う点は、先端部分が縦方向にしか動かないようになっています。
先端がブレないので初心者の方でもキレイに塗れます。
透明のトレーがついていてワイパーのヘッドがすっぽり入る大きさなのでワックスをシートに染み込ませる際に助かるアイテムです。
床に直接ワックスを撒くと均等に塗れず、塗りムラになる原因になります。そこでワックスを入れる容器が必要ですが使えるものは少ないです。
掃除用のワイパーは先端が縦方向と横方向の両方動くのでクネクネするため、ワックスがけには向いていません。
コストを抑えるなら、専用のモップがおすすめです。
こちらにも付属のトレーが付いており、ワックスの染み込む量が多くシートと比べると塗れる範囲は2倍程度に広がります。
②部屋の隅から塗り始める
部屋の中に柱や、家具・家電がある場合には塗り方を調整します。
部屋の奥から塗り始め、出入口に向かって塗り進めます。乾く前に踏むと足跡が付きます。
実際の写真です。
③木目の向きに沿ってワックスを塗る
フローリングの継ぎ目に沿って一定方向にワックスを塗ります。
木目の向きに塗るとフローリングの溝にワックスが溜まりにくくなります。
溝にワックスが溜まったまま放置すると、床板の膨れや床鳴りの原因になります。
溝に溜まった場合は表面が乾いてからテッシュで吸い取るなどして取り除きます。
放置した場合は以下の写真のように膨れます。
④ワイパーは垂直に上げない
ワイパーを床から離す際のコツにです。
床面に対し垂直にワイパーを持ち上げると、持ち上げた部分にワックスが厚く残りやすいので乾燥後は表面が凸凹したり、塗りムラになる原因になります。
ワイパーを床から離す際は、スライドさせながら徐々に上げることがキレイにかけるコツです。
床ワックスはある程度、雑に塗っても「レベリング」といって、自然と平らになります。ただし部分的にワックス液が集まるとレベリングではカバーできなくなります。
⑤ワックスを乾燥させる
ワックスは約30分で乾きます。
厚く塗りすぎた場合や、梅雨時期・雨の日などは乾燥時間が倍以上かかります。
状況に合わせて完全に乾燥するまで待ちます。表面を触りベタベタしていないか確認してみてください。
厚く塗りすぎた場合、表面は乾いていても内側が乾ききっていないことがあります。
完全に乾く前に塗り始めると表面の膜がめくれたり、塗りムラの原因になります。
乾燥を早めるために、窓やドアを開けて空気の流れを確保するか、扇風機を使用し塗った場所に風が通るようにします。
⑥始めて塗る際は最低2回重ね塗りをする
初めて塗る際は2回塗ります。
その後はワックスの耐久期間に合わせて重ね塗りしていきます。
塗り重ねると光沢は増していきます。また厚みが増す分、キズも付きにくくなります。
その他のワックスがけのポイントや注意点
塗りムラが出来た時は乾いてからもう一度塗る
塗ムラが出来た際は焦らず、完全に乾くのを待って再度上からワックスを塗ることで塗りムラが消えます。
消えるというよりは、目立たなくなります。
乾く前に塗ろうとすると逆にムラになるのでご注意ください。
失敗しても乾くまで待つ
ワックスを塗っている途中で塗り残しや、ムラを発見した場合でも乾くまで待ちます。
乾燥してから塗り残し部分やムラになった部分を塗ります。
塗りムラが気になる場合は、剥離作業をおこない再度ワックスを塗ります。
重い家具等は動かさずに塗る
動かせられる物だけ移動するだけで大丈夫です。動かさないところを塗っても意味がないからです。
模様替えなどで家具・家電を動かした場合は、塗っていない部分のみ部分的にワックスを塗るだけで問題ありません。
おすすめのフローリングワックス
床ワックスといっても使う目的は異なります。
- とにかく床を保護したい
- ツヤを出してピカピカにしたい
- ペットのために滑りにくくしたい
など目的に合わせて、実際に使って良かったワックスを下記にて紹介していますのでご参考ください。
ワンちゃんのいる家庭におすすめ。
ポイントをおさえ、手順通りにすれば誰でもキレイに塗れる
床ワックスの失敗しない塗り方を解説しました。
塗り方のコツをまとめると
- 素足で歩いた際に付く皮脂はしっかり取る
- 木目に沿って部屋の隅から塗る
- ゴシゴシ力を入れて塗らない
- ワイパーはスライドしながら徐々に床から離す
以上の4つは知っておくといいです。
これから始めて使用される方や、今までやってたけど少しやり方が違ったかな?という方の参考になれば幸いです。
初めてで自分でやるのは不安だ…。
という場合にはハウスクリーニングの業者に頼んでみるのもアリです。
ただし業者には個人店や大手企業含め数多くあり、業者選びに悩むため下記の記事をご参考ください。