床ワックスがけに必要な4つの知識「違い・選び方・塗り方・費用を徹底解説」

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ワックスはあまり詳しくないけど価格や耐久期間で判断し、何となく商品を選んでいませんか?

特に初めて使う場合は種類が多くて、どれがいいのか分からないと思います。

商品選び以外にも、使い方を間違えると失敗することも…

間違った選び方や使い方をすると「余分な費用・手間が発生したり、求めたものと違う」ことになります。

筆者のプロフィール

これまでに100種類以上の床ワックスに関するアイテムを使ってきたマニア。使い方や商品の違いなど、初心者の方にも分かりやすく解説しています。ワックスに関する知識は日本一かも?

せっかく床ワックスを使用するのなら、「しっかりと効果を得たいし、失敗したくない」ですよね?

この記事では床ワックスを「購入・選ぶ・塗る」前に知っておきたい4つの知識をまとめております。

目次

床ワックスとは何か?

自動車にコーティングするワックスや、スキー用のワックスは「弾く」ことを目的に作られています。

  • 汚れをはじく(自動車用)
  • 抵抗をなくし滑りやすくする(スキー用)

これらの2つにはカルナバロウという、ロウが成分になっているため、塗った表面が滑りやすくなります。

ワックスを連想すると滑りやすくなるイメージが強いですが、床ワックス(フローリング用)に使用されている主成分は合成樹脂なため、逆に滑りにくくなります。

床ワックスの目的は「床を保護する光沢感を出す」ことです。

滑りやすいのはロウタイプのワックス

一般的に使用されるワックスの8割以上は樹脂ワックスと呼ばれる滑りにくくなるタイプです。対してロウワックスと呼ばれるタイプが滑りやすくなります。

【床ワックスの違い】間違って選ぶと失敗の原因に…

選び方にジャンプする

ワックスの違いを分けると下記の6つになります。

  • 主成分の違い(塗れる材質が違う)
  • 塗った表面の固さの違い
  • 耐久期間の違い
  • 光沢の違い
  • 滑りにくさの違い
  • 一般の物とプロ用の違い
  • メーカーの違い

主成分の違い(塗れる材質が違う)

フローリングやクッションフロア(化学タイルなど)には樹脂タイプのワックスを使用します。

フローリングの表面に膜を張り、汚れ・キズから守ります。

マニュキュアのように重ねて塗るイメージで、塗って乾かして完了です。

重ねるほど、光沢・耐キズ性・滑りにくさが増します。

対して無垢材や白木にはロウタイプのワックスを使用します。

床材に浸透させて内部から守り、水滴を弾く効果があります。

塗った後にから吹きが必要で、車のワックスのように塗り込みます。

無垢材や白木には樹脂ワックスは塗れません。逆も同様です。

【耐キズ性】塗った表面の固さの違い

フローリングに塗るワックスが対象です。

樹脂ワックスは水と樹脂が混ざり合って作られており、塗る前は乳白色の液体です。床に塗って乾燥すると水だけが揮発し、樹脂のみが表面に固まって残ります。

固まった樹脂の表面にはメーカーや商品によって硬さが異なり、鉛筆の芯で表すと一般的には2B~2Hになります。

ワックスの中には被膜が4Hと固い種類もあります。

傷つけたくない場合は硬いワックスをおすすめしますが、パッケージや公式HPを見てもほとんどのメーカーは硬さの表記がされていません。

もっと強力なものが良い場合はフロアコーティングがおすすめです。硬いものでは9Hや12Hといったコーティングもあります。

作業負担が変わる【耐久期間の違い】

ワックスには3つの種類があり、耐久期間が異なります。

スクロールできます
種類/耐久期間1週間1ケ月3ヶ月4ケ月6ケ月1年2年
ボトルタイプ
スプレータイプ
シートタイプ

簡易的なスプレーやシートタイプは耐久期間が短く、塗り直しが必要になります。

6ケ月・1年・2年が主流で、期間が長いほど価格が高くなります。

耐久期間と価格をざっくりまとめたのが下記の表です。

耐久期間価格の目安おすすめ度
6ケ月耐久600円~1,800円
1年耐久1,300円~3,500円
2年耐久4,000円~6,000円
※参考程度でご覧ください(1Lの価格)

作業の手間を考えると、2年耐久がおすすめです。

耐久期間が長いことによって得られるメリットは2つです。

  • ワックスを塗る頻度が減る
  • 剥離作業の回数が減る
剥離作業とは?

床ワックスの重ね塗りを続けると、被膜の間に汚れがたまり、床が黒ずんで見えてきます。5~8回の重ね塗りを行うたびに、ワックスを剥がす必要があります。

安いからといって価格だけで判断すると損します。

例:重ね塗り8回につき、剥離1回の頻度

耐久期間6ケ月4年に1回剝離

耐久期間2年16年に1回剥離

剥離回数・塗る回数が全然違います。

2年耐久のワックスは高価ですが、作業負担がラクで費用面も実は大差ありません。

【光沢感の違い】価格に比例して光沢度も高まる

高価なワックスほど光沢度が高くなります。

フローリング用のワックス(樹脂タイプ)には2種類の樹脂(アクリル・ウレタン)が使われています。

アクリル樹脂の特徴

光沢度や耐キズ性を上げる役割がある。粘度が低く塗りやすい。被膜は硬め。

ウレタン樹脂の特徴

耐久性や滑り止め性能を上げる役割がある。粘度は高めでグリップ力が増す。

何度も重ね塗りすると、安価なワックスでもそこそこのツヤがでるようになります。

様々なワックスを使用した結果、スーパーグロスが最も光沢がありました。

滑りにくさの違い

フローリングに使用する樹脂ワックスは、塗ると滑りにくくなります。

高齢者やペットと暮らす方には滑りにくいワックスがおすすめです。

高価なワックスほど滑りにくくなる傾向ですが、ペット用に開発された商品もあります。

【一般・プロ用の違い】プロ用は容量が多いだけではない

プロ用(業務用のワックス)は土足対応で作られているものが多く、化学床用(店舗の床など)が主流です。

フローリングに使えるタイプは少ないです。

プロ用は土足対応な種類が多く(被膜が硬い4H以上)ワックスの性能は優れています。

ただしワックスを剥がす際に使用する剥離剤が強力なため、自宅のフローリングで使用すると素材を痛める(変色等)可能性があるため、おすすめできません。

メーカーの違い

フローリングに使用する同じ樹脂ワックスなら、メーカーが違っても重ね塗りは可能です。

ワックスは主にホームセンターで販売されていますが、大半はリンレイ社のワックスが並んでいます。

黄色いボトルの「リンレイ オール」が有名です。

樹脂ワックスの個人的におすすめはラグロン社のワックスです。

めずらしいコルク床用のワックスなども販売しています。

特徴は他のワックスメーカーよりも被膜が硬いため、耐キズ性に優れています。

被膜の硬さは4Hと中グレードのフロアコーティング並みの性能があります。

床ワックスとフロアコーティングは別物?

使用する目的は同じ、床の保護剤ですが、一長一短なのでそれぞれの違いは知っておいた方がいいです。

住宅事情や金銭面によって最適なものは異なります。

築年数が経過した住宅(汚れが取れない床)に高額なフロアコーティングはもったいないです。

逆に新築やリフォーム後(金銭面に余裕がある場合)は床ワックスよりもフロアコーティングがおすすめです。

下記はメリット・デメリットをまとめたものです。

保護剤   メリット   デメリット
床ワックス自分で出来る
コストが低い
剥離ができる
いつでも出来る
手間がかかる
耐久期間が短い
(最長で2年)
被膜が柔らかめ
フロアコーティング手間がかからない
耐久期間が長い
被膜が硬い
(キズが付きにくい)
自分で出来ない
(はくり作業も同様)
コストがかかる
業者とのやり取りが必要

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失敗しない床ワックスの選び方

塗り方へジャンプする

下記の3つの順番で絞ると選びやすくなります。

  1. 使用する材質に合わせる
  2. 使用する目的に合わせる
  3. 耐久年数で選ぶ(価格で選ぶ)

使用する材質に合わせて選ぶ

フローリングか、無垢材(無垢フローリング)で異なります。

一般的なフローリングは「樹脂ワックス」

無垢材(無垢フローリング)は「ロウワックス」

大半は一般的なフローリングだと思いますが、脱衣所やトイレの床などの化学床(クッションフロア・ビニール床)にも塗る場合は、対応しているか確認する必要があります。

石床・コルク床・玄関ドアなど、特殊な部分は種類が少ない。

【使用する対象の素材・場所】

  • フローリング(複合フローリング)
  • ワックスフリー床(UV塗装床)
  • クッションフロア・化学タイル(Pタイル)
  • 無垢材(無垢フローリング)
  • コルク
  • 白木
  • 石床
  • 革物(鞄・靴など)
  • 家具・玄関ドアなど

フローリングに使用できるワックスの半数は化学床(ビニール床・クッションフロア・Pタイル)にも使えますが、一部対応していないものがあるため、各商品のパッケージをご覧ください。

使用する目的に合わせて選ぶ

ワックスを塗る目的は何のか?

何を優先したいのか?によっておすすめのものが異なります。

  • キズを付けたくないなら耐久性能を重視(耐久期間は最低でも1年以上を選ぶ)
  • 見た目を重視するなら光沢度を重視する(つや消しもある)
  • ペット用なら滑り止め性能を重視する

価格も気になるところですが、後回しで考えた方がいいです。

耐久年数で選ぶ(価格で選ぶ)

耐久年数が長いほど高価になります。

耐久期間が長ければワックスがけの頻度が少なく済み、剥離作業の頻度も減ります。

長期的に使用する場合、時間と労力を考えると耐久期間は1年以上のワックスがおすすめです。

例外としてペット用ワックス(滑り止め効果・引っかきキズ防止)は基本的に6カ月が最長です。

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初心者でも簡単にできる床ワックスの塗り方

ワックスを塗る写真

塗る前の準備が最も大切

YouTubeやSNSでは塗り方の説明ばかりで、一番重要なポイントが抜けていることが多いです。

塗る前の準備で仕上りに影響しますので、面倒でも丁寧にやることをオススメします。

フローリングワックスは水性なので、油分が残っていると弾いてしまうので、部分的に塗りムラができます。

やることは2つです。

  1. 掃除機で細かなゴミを取り除く
  2. 床に付いた油分(人の皮脂など)を取り除く

床ワックスがけの流れ

初めてワックス塗る(2度塗り)場合の5ステップです。

STEP
細かなゴミと油分を取り除く

細かなゴミを取る以外に、「油分」を取ることが大切です。油分を取り切るには市販のウエットシートより、専用のシートがおすすめです。

STEP
掃除後の床が完全に乾くまで待つ

ウエットシートでの掃除後は完全に乾燥するまで待ちます。

乾燥する前に塗ると、洗浄成分により塗りムラが出来てしまいます。

STEP
1回目のワックスを塗る

部屋の端から、木目に沿ってワックスを塗ります。

塗る際は、専用のモップが塗りやすく、1回で塗れる範囲も広いので作業効率も上がります。ワックスを注ぐ専用のトレーが使いやすくて便利です。

筆者

塗り漏れがあった場合は乾燥するまで待ち、2回目の時に塗ります。

STEP
ワックスが乾くまで待つ

ワックスの種類により乾燥時間が異なります。

シートタイプ(約10分) 液体タイプ(約30分)

季節や天候によって乾燥時間が変わります。またワックスを厚く塗り過ぎたことを想定し、最低でも3時間は乾燥するまで待つことをオススメします。

STEP
2回目のワックスを塗り、乾燥を待ち完了

1回目と同様にワックスを塗り、乾燥するまで待ちます。

表面が乾いたように感じても内側が完全に乾いてないことがあります。3時間ほど乾燥まで待ちましょう。

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ワックスがけの費用「初めてで不安ならプロに依頼」

自分でやるときの費用は高くても14,000円(2年耐久)です。

容量1Lのワックスで60畳分になります。(60畳は約100㎡)

戸建ての平均面積を元に想定すると、1Lのワックス1本で戸建て1回分です。(浴室・クローゼット・玄関を省く)

総務省統計局のデータによると2018年の戸建ての平均面積は126.63㎡です。

平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果

つまり2回塗りを想定した初期費用は約14,000円です。(最上級のグレードの場合)

ワックスのグレード別でまとめると下記のようになります。

耐久期間
(グレード)
ワックス本体掃除用
シート
ワイパー
モップ
合計金額
最上級4,000~
6,000円
400円400~
1,500円
8,800~
13,900円
1,300~
3,500円
3,400~
8,900円
600~
1,800円
2,000~
5,500円
ワックス本体の価格は1本あたりの金額です。合計金額は2本使う場合の価格です。

対してプロに頼む場合の相場は60,000円程かかります。

施工内容は洗浄+ワックスがけです。

業者の場合は最低面積が定められており、20㎡~依頼可能な業者が多いです。(20㎡で約12,000円)

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まとめ:費用を抑えてワックスを使用する

違い・選び方・塗り方・費用の1つでも知っておくと、間違った選び方はせず、無駄な費用を使わないで済みます。

ワックスがけを極端に安くするなら500円のワックスシートでも効果が得られますが、せっかくやるなら良い機能の物を使用してみてください。

商品選びは価格で判断せずに機能や目的から絞っていくことをオススメします。

耐久期間は約6ケ月~2年のタイプが主流なので、都度ワックスがけは面倒…

という場合はフロアコーティングも視野に入れてご検討ください。

費用が高いですが耐久年数は10~30年と長く1回施工するだけで済みます。

またワックスよりも被膜が硬くキズが付きにくいので、長い目で見るとフロアコーティングの方がいい場合もあります。

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この記事を書いた人

フローリングワックスのマニア。これまでに使用したワックス関連品は100種類以上。ワックスの塗り方・剥がし方、商品の性能・特徴などを忖度なしで紹介。

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