床材を保護する目的は同じ、床ワックスとフロアコーティング。
何が違うのか?どちらがおすすめなのか?
性能・費用を比較し、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
これまでに100種類以上の床ワックスに関するアイテムを使ってきたマニア。使い方や商品の違いなど、初心者の方にも分かりやすく解説しています。ワックスに関する知識は日本一かも?
選ぶ際の参考にしてみてください。
床ワックス・フロアコーティングの特徴
下記はそれぞれの特徴です。
効果が高いのはフローリングですが、費用は高め。
対して床ワックスは費用は安いが、比べると効果は低めです。
下記では詳しい性能の違いをまとめています。
性能はフロアコーティングが優れている
保護性能はフロアコーティングが優れています。
- 簡単に剥離できる
- 耐久期間は6ケ月~2年とやや短め
- 保護膜の硬さは2B~2H程度
- 保護膜の厚みは3μ(ミクロン)と薄い
- 耐久期間は5~30年と長い
- 保護膜の硬さは2H~9Hと硬い
- 保護膜の厚みは30μ(ミクロン)と厚い
- 自分で剥がせない
優れた性能のフロアコーティングは耐久期間が長く、硬くてキズや衝撃に強い特徴があります。
下記3つの性能を比較しました。
- 耐久期間(作業や業者への依頼回数が減る)
- 保護膜の硬さ(スリキズ・衝撃に強い)
- 保護膜の厚み(スリキズ・衝撃に強い)
耐久期間の違い
床ワックスの耐久期間は6ケ月~2年です。
対してフロアコーティングの性能は5~30年になります。
耐久期間が長いほど、作業・業者へ依頼する回数が減るので、手間がかからずラクです。
フロアコーティングにするなら最低でも耐久年数10年以上がおすすめです。
保護膜の硬さの違い
保護膜が硬いほど、物を落とした際の衝撃に強いです。
下の図は床ワックスとフロアコーティングの被膜の固さをえんぴつの芯に置き換えて比較したものです。
一般的な床ワックスは2B~2Hと柔らめです。
フロアコーティングには種類がさまざまあり、ワックスと同等の固さ(2H)から9Hのものまで幅広いです。
一般的に6H以上の硬さがあると10~15年の耐久性能があります。
保護膜の硬さよりもさらに硬いもので表面を擦ったり、衝撃を与えると表面が削れてキズが付いたり、凹むことがあります。
硬さが4Hを超えると土足に対応できます。
保護膜の厚みを比較
保護膜が厚いほど、物を引きずった際につくスリキズなどに強いです。
厚みの単位はμm(マイクロメートル)です。※1μmは0.001mmです。
種類 | 雰囲気 | 特徴 | 光沢度 | 耐久年数 | 硬度 | 保護膜の厚さ |
---|---|---|---|---|---|---|
UV コーティング | 最高級な光沢 | 紫外線により固まる 特殊な液剤を使用する | 20年以上 | 5~6H | 40μm | |
ガラス コーティング | 高級な光沢 | ガラス素材=液体ガラスを硬化 させているので非常に硬くなる | 20年 | 8~12H | 5μm | |
シリコン コーティング | 適度な光沢 ガラスコーティングの方が勝る | 天然素材で安心 摩擦係数が高い為、滑りにくくなる | 10~15年 | 4~5H | 30μm | |
ウレタン コーティング | 落ち着いた光沢 シリコンコーティングより劣る | コーテイングの中ではグレードは下 せっかくやるならシリコンのほうがいい。 | 5~10年 | 3H | 30μm | |
水性ウレタン コーティング | 落ち着いた光沢 ウレタンコーティングより劣る | 樹脂ワックスとほぼ変わらない むしろ樹脂ワックスの方がコスパが良い | 3~5年 | 2H | 30μm | |
床ワックス | 落ち着いた光沢 水性ウレタンと同じ性能 | 自分で塗って、剥がせる | 6ケ月~2年 | 2B~2H 4Hもある | 3μm |
フロアコーティングの厚みは、床ワックスの約10倍です。
ガラスコーティングのみ床ワックスとほぼ変わりませんが、その分被膜の固さでカバーできます。
※ガラスコーティングの注意点。
以前はシリコンコーティングをガラスコーティングと呼んでいた時代があり、昔のなごりで現在もシリコンコーティングをガラスコーティングといっている業者もあります。
※相場より安い場合はご注意ください。
ガラス系コーティングもあります。ガラスコーティングとの違いは、実際に液体ガラスは使用しておらず、化学変化によって塗った後にガラスが形成されるという特殊なコーティングです。
Amazonにスプレータイプで1,000円程度で販売されています。
【価格の違い】費用は床ワックスが勝る
価格面と作業負担を比較しました。
- 1㎡あたり100円と安い(最上級品)
- 耐久期間ごとに塗り直しが必要
- 自分でやらなくて済む
- 安いものでも1㎡あたり1,500円と高い
- 高価なもので1㎡あたり5,000円
下記は各種コーティングの1㎡あたりの単価になります。
種類 | 1㎡あたりの単価 | 戸建て 100㎡ (4LDK) | マンション 70㎡ (3LDK) | 耐久年数 |
---|---|---|---|---|
UV コーティング | 4,500~ 5,000円 | 45~50万円 | 31万5千円~35万 | 20~30年 |
ガラス コーティング | 3,500~ 5,000円 | 35~50万円 | 24万5千円~35万 | 20年 |
シリコン コーティング | 3,000円 | 30万円 | 21万円 | 15~20年 |
ウレタン コーティング | 2,000円 | 20万円 | 14万円 | 5~10年 |
水性ウレタン コーティング | 1,500円 | 15万円 | 10万5千円 | 3~5年 |
樹脂ワックス (2年耐久) | 100円 | 10,000円 | 7,000円 | 6ヶ月~2年 |
20年間使い続ける場合
- ガラスコーティングは35~50万
- 床ワックスは7万(最も高いワックス)
価格差は6~8倍です。※2年耐久のワックスを10年(重ね塗り5回)に一度、剥離した場合の金額です。
剥離作業の費用は20年間で約1万円
剥離剤は10㎡で約400円。戸建て(100㎡)だと1回あたり、約4,000円必要です。
1回4,000円×10年間で2回=8,000円 +道具代の約2,000円で合計1万円となります。
メリット・デメリット
床ワックスとフロアコーティング、それぞれのメリット・デメリットを比較すると下記のようになります。
メリット
デメリット
お金をかけてラクする?定期的にメンテナンスする?
それぞれの保護剤の特徴やメリット・デメリットをまとめてきました。
住居環境や費用によってどちらがいいのか異なります。
床ワックスがおすすめの例
- お金をかけたくない(コストを抑える)
- 賃貸物件に住んでいる方
- 床が無垢フローリング
コストをかけずに効果を得るには床ワックスがおすすめです。
下記の場合は床ワックスが適しています。
- 手間はかかっていいから、お金はかけたくない
- 住み始めて数年が経過している
- 賃貸物件に住んでいる(契約書を確認ください)
- 寝室や物置部屋など歩き回らない部分だけ
ワックスがけは慣れると1部屋(6畳)なら5分程度で終わります。
「失敗するのが不安」「安く抑えたいけど、めんどくさい」という場合には業者に依頼するのも1つの方法です。
ワックスがけや、剥離作業を業者に頼むメリットは3つあります。
- プロがやるのでキレイに仕上がる
- 手間がかからない
- 作業を見て自分でやる際の参考になる
ただしハウスクリーニングの業者には個人店や大手企業含め数多くあり、どこに頼めばいいか分からない場合は下記の記事を参考にしてみてください。
フロアコーティングがおすすめな方
- メンテナンスに時間をかけたくない
- 10万以上お金をかけてもいい
- 新築やリフォーム直後
フロアコーティングは価格だけで選ぶと後悔することがあります。
最も安価な水性ウレタンコーティングは耐久期間が床ワックスとほぼ同じ、なのに価格は10倍以上かかります。
下記の場合はフロアコーティングが適しています。
- 床にキズ・凹みをつけたくない
- 手間をかけたくない
- 新築やリフォーム後
- リビング・玄関・廊下など
- キッチン・トイレ・脱衣所など
新築やリフォーム後が最適なタイミングです。
床ワックス以上に保護する力があるので、リビングや玄関・廊下など頻度に歩く場所が効果的です。
また水に強いため、床ワックスの弱点である水回りにもオススメです。